茶色い沼からこんにちは

めせもあ。(MeseMoa.)の茶色担当の人をひっそり推してる女性の一人遊びです

2014年秋に初めて「野崎蘭千代」の名前を見たあの日、私はこんなストーリーだと思っていた

こんにちは。年の瀬ですね。

さて、先日野崎蘭千代さんが日替わり写真に登場(文章のみ)したということで思い出してしまいました。まだビジュアルも公開されず「蘭千代の話」

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も公開される前の2014年の真夜中。

野崎蘭千代とはどのような人物かと想像したあの夜のことを。

ということで、47都道府県ツアー今年最後の参戦となった大阪1部を見た帰りに過去のツイートを掘り返して確認し新幹線の中で書き上げた妄想をここに置いておきます。

 

朝の連続ドラマ小説 蘭千代の空

 

 明治の終わり、養蚕業で成功した男の家に娘が生まれる。名前は蘭子。

 しかし蘭子の母は産後の肥立が悪く早世してしまう。父はしばらくのちに馴染みの芸妓「きま」を身請けし蘭子の継母とする。世話係の「ぜん」は、元芸妓のきまを毛嫌いし蘭子を遠ざけるが、蘭子はたおやかで優しいきまに母の面影を求める。

 ある日、蘭子は好奇心から母の部屋を覗くと、そこには父が座っていた。父の前で「黒髪」を舞う継母きまの姿に見惚れ自分も踊りたいとぜんに話すが芸妓の踊りなどと怒られてしまう。諦められない蘭子は継母きまにぜんに内緒で習いたいと願い出る。しかし、蘭子はきまに窘められる。

「誰かを欺いて得たものが何になりましょうか。蘭子さん、お天道様はあなたのなさることを見てらっしゃいますよ」

 蘭子はぜんに何度も頼み込む。それを見たきまがぜんと話をする。きまの誇り高さと優しさに触れたぜんは、きまを認め蘭子が舞を習うことを許す。

 蘭子は美しく成長し、女学校の花として女生徒たちの憧れの的になる。同級生たちが次々と結婚して退学をするなか、卒業後の嫁ぎ先が決まらない蘭子。カフェで同級生とお茶をしていると、足元に万年筆が転がってくる。拾うと長いまつげの好青年が礼を言う。華奢だがすらりとした体形、きりりとした綺麗な顔立ちに小説の中から抜け出たように思えて蘭子は息を飲む。

 後日、父の来客として大学助教授の白井が一人の学生を伴って蘭子の家にやってくる。その学生はカフェで出会った美青年、野崎だった。父に命じられて継母きまと舞を披露する蘭子。舞の最中、蘭子と野崎の視線が絡まり恋に落ちる二人。しかし、父は白井と蘭子の婚約を進めようとしていた。

 想いを貫くために父と衝突する蘭子。真夜中に家を抜け出て駆け落ちしようと思い立つが、幼い頃にきまに言われた言葉を思い出す。

「誰かを欺いて得たものが何になりましょうか。お天道様は見ていらっしゃいますよ」

 蘭子は朝早く、父に挨拶をして鞄ひとつで家を出る。

「何度連れ戻しても無駄です。蘭子は決めたのです。逃げも隠れもいたしません。野崎さんと生きていきます」

 玄関から堂々と出ていく蘭子。門を出ると家に一礼して野崎の家へ駆け出す。

 野崎と暮らし始めた蘭子。野崎は出版社に勤めながら、自分の本を出したいと詩の投稿をしている。幸せな暮らしの中で蘭子は男の子を授かる。しかし、野崎は病魔に侵されていた。

 療養のために都会を離れ温泉地へと居を移す二人。 野崎は出版社に頼まれた原稿を書いて日銭を稼ぎながら何かに取り付かれたように万年筆を握る。雪の降る寒い夜、蘭子は野崎に頼まれて舞を披露する。継母きまが踊り、蘭子が憧れた「黒髪」。野崎は満足げに微笑むと翌朝、出会いのきっかけとなった万年筆を手にしたまま永久の眠りにつく。葬儀が終わり途方に暮れている蘭子親子のもとに、製本された野崎の詩集が届く。そこには蘭子と息子への愛や日常の幸せが彼らしい繊細な詩で綴られていた。

 息子を抱えて独り身になった蘭子は実家を頼らず、温泉街で仲居勤めを始める。その噂を聞き付けた女学校の同級生、乙女が蘭子を訪ねてくる。乙女は浅草で料亭を何軒も営む実業家に嫁入りしていたのだった。蘭子は乙女に頼まれてお座敷に出ることになる。素晴らしい舞は評判になり蘭子は「蘭千代」と名乗りお座敷芸妓として働き息子を養う。

  太客からの妾への誘いや体の要求などをすべてはね除け、同僚からのやっかみにも負けず誇りを持って芸妓として生きる蘭子。

「蘭千代は芸妓です。芸は売っても私自身は売りません」

 その毅然とした姿勢がさらに蘭千代の評判をあげていく。しかし、蘭千代が忙しくなるほど息子との時間は減っていく。息子は尋常中学校で「芸妓の息子」「身を売った金で暮らしている」とバカにされ悪い仲間と付き合うようになる。さらに同級生と喧嘩をしてしまう。

「母さまは恥じることなどないと言うけれど、僕は母さまが何をしているかわからない。何が正しいことで何が悪いことなのか僕にはわからないのです」

「母は、あなたとあなたのお父様に恥じる行為などしていません。あなたも誇りを持って生きなさい。お天道様はいつだって見てらっしゃいます。あなたのなさっていることは、お天道様に、お父様に顔向け出来ることですか?」

  乙女は料亭の一部屋に蘭子の息子を連れていき、襖を少し開けて蘭子の姿を見せる。無心で練習する蘭子の凛とした姿、美しさ。息子は涙を溢す。

 成長した蘭子の息子は開拓著しい北海道の会社に勤め始める。必死に勉学に励んだ結果、母に少しでも楽をと燃料として必要不可欠な石炭事業を営む会社へ就職したのだ。蘭千代は一線を退き、師匠として舞を教えて生計を立てている。

 息子は北海道で出会った女性と家庭を持ち娘に恵まれる。蘭子を北海道に呼び寄せようとするが迷惑をかけたくないと断られる。

 時代は不穏さを増していき戦争へと向かっていく。蘭子の住む街にも空襲がやってくる。蘭子は野崎の詩集だけを手に逃げ惑う。乙女夫妻と蘭子はなんとか生き延びて再会するが、浅草にあった店はすべて焼け落ちてしまう。いつまでも乙女の夫の実家に暮らすわけにもいかず途方にくれていると、息子が迎えに来る。そして蘭子は新天地、北海道へと旅立つ。

 北海道で蘭子は息子夫婦と孫娘と暮らす。息子は国営となった石炭会社に勤めているおかげで兵役を免れている。そのことを孫娘は同期生に責められる。「父は病気なのだ」と嘘をつく孫娘の姿を目にした蘭子は優しく嗜める。「誰かを欺いて得たものが何になりましょうか。あなたのお父さんは何も恥ずかしことなどしていません。お天道様は見ていますよ」

 戦況はますます悪化の一途を辿り、兵役を免れていたはずの息子にも赤紙がくる。出征する息子を駅で見送ったしばらくのち、北海道空襲が起きる。浅草の空襲を思い出しながらも気丈に嫁と孫娘を守る蘭子。

 空襲から生き延びて一月のち、玉音放送が流れ戦争は終わる。

 戦地へ送られる直前だった息子は無傷で帰ってくる。穏やかな生活を取り戻しながら、生活の糧にと舞を教え始める蘭子。再び蘭千代としての生活が始まる。孫娘も習い始める。

 雪融けの柔らかな陽射しの中で蘭子は家族に見守られて息を引き取る。その手には野崎の詩集があった。

 

おわり

 

なーんてね、ふふ。