茶色い沼からこんにちは

めせもあ。(MeseMoa.)の茶色担当の人をひっそり推してる女性の一人遊びです

MeseMoa.の「ぬこわーるど」を見たうえで浮かび上がった妄想の話

【むすめん。】すーぱーぬこわーるど 踊ってみた by MeseMoa. 踊ってみた/動画 - ニコニコ動画

これを踏まえての

 

ch.nicovideo.jp

こちらの野崎弁当様ブロマガがあり、そこから派生した妄想です。

だいぶ昔に書いたものを加筆訂正したものになります。

心の広い方推奨。

ちなみにMeseMoa.の「ぬこわーるど」はこちら。

www.youtube.com

 

 

「ぬこめん。ある出張明けの晴れた休日のお話」心の広い方のみどうぞ

 出張翌日の休日。飼い主は寝転がりながら洗濯機の終了ブザーを待っていた。傍らで微睡んでいた煎猫がのそりと起きて飼い主を跨ぎ水を飲みに行く。網戸から温い風が優しく頬を撫でる。外からは蝉の声。
「夏らしい雲だなぁ…」
 夏は飼い主の好きな季節だ。大きな白い雲が午前の空にぷかりと浮かんでいる。あれが少しずつ積み重なって、夏の入道雲になるのだろう。今日も暑くなりそうだ。

 ふと視線を感じて振り返ると兄猫がじーっとこちらを見ている。大きな尻尾がうっとりゆらゆら揺れている。

「兄猫、おいで」

 声をかけると兄猫はニャニャッと小声で鳴いてからほんの少しだけ近づいて箱座りをした。

 外から良い風が吹いてくる。カラリと網戸を開けると、やったとばかりにとみ猫、あお猫、しろ猫がベランダに飛びだして行く。
「お前も出たら?」
 ソファで寝ているクソ猫を揺するが前日にマタタビの原木で暴れ過ぎたせいか、顔を隠してさらに丸くなる。やれやれとクソ猫をひと撫でして飼い主もベランダに出た。風通しの良い日陰で猫三匹が毛繕いをし合っている。正確には、とみ猫とがせっせと、しろ猫とあお猫の毛を整えている。
 突然バチンという音と共にベランダの壁に何かがぶつかり落ちた。物音に身を竦めるしろ猫、あお猫を庇うように一歩出るとみ猫、その後ろから興味津々とばかりに耳と尻尾を立てて覗きこむあお猫。三匹をそれぞれ跨いで近づくと、そこには蝉が落ちていた。ひっくり返ったままジタバタと足が動いている。捕まえてイタズラ心で三匹に見せると鼻を近づける二匹と耳を伏せて後ずさるしろ猫。
「ほーらほーら」
 手のひらに乗せてしろ猫に蝉を持って迫ると身を翻して白猫が部屋に逃げ込んでいく。中から「ぎゃ」という叫び声。
「クソ猫、踏まれたか…」
 手のひらでジタバタしている蝉を奪いたい二匹を反対の手で撫で、
「もう来るんじゃないぞー」
 飼い主は蝉を空に飛ばしてやる。青空に飛ぶ蝉を見送ってから部屋に戻ると、ちょうど洗濯終了のブザーが鳴った。洗濯機に向かうと後ろからぷん猫が着いてきて優雅なジャンプでひらりと洗濯機に乗る。洗濯機の蓋の上で尻尾をぱたんと鳴らして飼い主を振り返った。
「相変わらず綺麗な動きだね、ぷん猫は」
 得意気に体を伸ばすぷん猫に向かって餌から顔を離し、ぜあ猫が「にゃーにゃー」と言っている。
「乗りたいのかな? ちっちゃいから届かないのか……」
 腰をかがめてぜあ猫を抱き上げようとした飼い主頬に猫パンチがペタンと炸裂した。にゃごにゃごと何か言いながら去っていくぜあ猫と洗濯機から降りて同じく何か言いながらぜあ猫のあとを追うぷん猫。
 気を取り直して飼い主は籠に脱水まで終了した洗濯物を入れていく。
「ふふふーん、すすぎ~。ざぶざぶ~すすぎ~」
 謎の鼻歌と共に籠を持ってベランダに出ると、兄猫、ぷん猫、とみ猫、あお猫の4匹が大騒ぎをしている。また蝉が落ちてきたようだ。また少し高くなった太陽に目を細めてから籠を抱えて4匹に近づく。
「あぁ、蝉がかわいそうに」
 そのとき、騒ぎに気が付いたしろ猫が恐る恐るベランダに出てきた。そして、あお猫が「見て~」とばかりに蝉を咥えて近づいてくる。パニックに陥り飼い主の足まわりにまとわりつくしろ猫。蝉とともに近寄ってくるあお猫、その後ろを蝉欲しさに追ってきたとみ猫、兄猫、ぷん猫。合計5匹の猫に足をとられる飼い主。
「ま、待って。あお、とみも、しろ猫は落ち着けって、兄猫、ぷんっ、うわっ、あぁっ」
 バランスを崩した体と、手から離れる洗濯籠。低く宙に放られる洗いたての洗濯物たち。ビックリしたあお猫の口から飛んでいく蝉。追い切れず悲しそうに蝉を目で追う、とみ猫とあお猫。横倒しになった籠の匂いを嗅いでいるぷん猫。心配そうに飼い主のそばに座る兄猫。いつの間にかベランダに現れ、よい寝床とばかりに籠に入り込む煎猫。呆然とする飼い主。カオス。
「洗濯物が……」
 隣のベランダから聴きなれた声がする。
「なんや大騒ぎしとるけど、大丈夫かぁ?」
「あ、大丈夫です」
「わふわふ」
 優しい隣人とその飼い犬の声に少し救われて飼い主は落ちた洗濯物を拾い始める。何度洗濯しても乾きそうなくらい綺麗に晴れた夏空。籠から煎猫を追い出し、気を取り直して洗い直しを決意する。
 しかし、飼い主はまだ知らなかった。部屋に戻れば、マタタビの在処を探し当てたクソ猫とぜあ猫によって新たなカオスが広がっていることを。

 

おわり