茶色い沼からこんにちは

めせもあ。(MeseMoa.)の茶色担当の人をひっそり推してる女性の一人遊びです

ダンゴムシがチェキ会に行った話

これは9/12放送の「大根弁当のとりあえず何か放送しよっ」第6回を聴いた妄想癖のある茶推しによる妄想ですので

心が広くて、なおかつお時間に余裕のある方のみどうぞ。

あと、この書き手には文章力と画力が著しくかけているので、その点もご容赦いただければ幸いです。

 

「ダンゴムシがチェキ会に行った話」

 

スクエア荏原のチェキ会会場に一匹のダンゴムシがチェキ券二枚を複数の足で握りしめて並んでいる。

どこで6千円を集めて運んできたのか、それについては割愛させていただくとして

現状、彼女は野崎弁当と書かれたブースに並んでいた。

ダンゴムシにも雌雄の区別があるらしく、見分け方があるらしいけれど、画像をじっくり見る勇気がなかったため、それも割愛する。

「すみません、あの虫は大丈夫ですか? 呼ばれても見えづらいと思うので、私を掌に乗せてスタッフさんに渡して欲しいのですが」

客観的には足元でチェキ券2枚が動いているようにしか見えないが、彼女は必死に後ろに並んでいる茶色い服を着た女性に話し掛けた。

「あ、ダンゴムシくらいなら大丈夫ですよ。スタッフさんに渡せばいいんですね」

「はい、よろしくお願いします。あのチェキ会って初めてで……緊張しますね」

「そうですね、私は何度か来てますけどやっぱり緊張しちゃいます」

茶色スカートの女性は掌にダンゴムシを乗せると息で彼女が飛ばないように気を付けながら笑いかける。

「どうしてダンゴムシさんは茶推しなんですか?」

「私のおじいさんのおばあさんの、そのまたおばあさんくらいのダンゴムシが北海道で野崎さんらしい人に可愛がってもらったみたいで」

「すごい!! そんな縁ってあるんですね」

「はい、私のひいおじいさんあたりから、コンテナに潜りこんで東京に来たらしいんです。北海道での縁だったのに東京で会えるなんて感激です」

話している間にも列は進んでいく。スタッフさんが茶色スカートの女性に声をかける。

「あ、すみません。私の前にこのダンゴムシさんが。二枚だそうです」

女性の柔らかな掌からスタッフさんの少しごつごつした掌にダンゴムシは転がった。

「二枚ですー」

「チェキにしますか?写メですか?」

「携帯持ってないんでチェキで」

自分の足で歩いているわけではないので、問答無用に椅子の上に運ばれるダンゴムシ。

「はーい、こんにちはー」

めいっぱいの笑顔で迎えてくれる野崎弁当さん。

「2枚、チェキでーす」

「はい、じゃあ1枚目はどうしましょう?」

スタッフさんから枚数を聞いてポーズを聞いてくる野崎弁当さん。

「一枚目は、一人で……あの、色っぽい感じで!」

「はい、じゃあ……こうかな?」

パシャリ

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ダンゴムシさんによる野崎さん色っぽいチェキ

カメラに向けて首痛いポーズで色っぽく視線を向ける野崎弁当さん。ダンゴムシはそれを椅子の上から見上げていた。

(あぁ、これが生身の野崎さん)

カメラからチェキが出てくるのを確認してから野崎弁当さんが声をかける。

「二枚目どうしますか?」

「じゃあ、私を紹介するみたいな感じで。あの虫ですけど大丈夫ですか?」

「はっはっは、もちろん大丈夫ですよ」

夢にまで見たあの笑い方が彼女に向けられた。ぽぅっと顔が赤くなる気がする。ただし、彼女は全身黒いので表情には出ない。

パシャリ

 

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ダンゴムシさんを紹介する野崎さん

 

野崎弁当さんはチェキをスタッフさんから2枚受け取ると、ダンゴムシに向き直った。

「では、どうぞチェキです」

「ありがとうございます」

「初めまして、ですよね」

「はい。あの、野崎さんとお話ししてみたくて」

「おっ、なんでしょう?」

じっと彼女を見つめる野崎弁当さん。ダンゴムシはそのまっすぐな視線と美しい目に見惚れて言葉がなかなか出てこなかった。

(なんて綺麗なまつげなんだろう。私の触覚よりきっと長い。)

「大丈夫ですか?」

優しい瞳に促されて思わず彼女は漠然と胸に秘めていた想いを打ち明けた。

「あ、あの、空を飛びたいんですけどどうしたらいいですか?」

「空を? 空をですか? えーっとですねぇ、空。うーんそれは無理ですね」

「無理ですか? でも夢なんです」

「そうですか……うーん。空を飛ぶ。ダンゴムシさんが……」

彼女の真剣さに押されて野崎弁当さんは宙を見つめて悩み始めた。

「空……ですかぁ」

きっと真剣に考えているのだろう。うんうんと考え込んでいる。

「そろそろお時間ですー」

スタッフさんがちらりと姿を見せた。

「あの、大丈夫です。私も飛べないのわかってるので。ごめんなさいっ」

困らせてしまった。そう思ってダンゴムシは慌てて謝った。時間もあとわずかだ。

「いえ、大丈夫です。あの、あのっ。空を飛んだら天敵の鳥とかにあっさり見つかって危ないと思うんですよね。なのでそれは諦めてもらって、誰かお友達に頼んで投げてもらうのはどうでしょう? そこの窓からとか!」

今までのスローな口調はどこへやら、野崎弁当さんが勢いよく話し始めた。

(それはもはや、飛行じゃなくて落下!)

よぎった言葉を言えるはずもなくダンゴムシは笑顔を返した。

「そうですね、そうしてみます」

ちょうどよく、再度スタッフが現れて彼女をそっと摘まんだ。

「お時間でーす」

「あの、ダンゴムシですけど応援してます!」

「はーい、どうもありがとう!!」

両手でお手振りをしてくれる野崎弁当さんに6本の手でばいばいをする。キラキラした笑顔、そしてダンゴムシのために真剣に時間をかけて考えてくれた瞬間。それらの思い出を抱きしめるようにダンゴムシはチェキを抱えて会場をあとにした。

 

「あれ、なんかチェキ落ちてる」

「あ、本当だ。届けてあげようよ」

ぷちっ……。

 

おわり